私達が活動しているシャンルウルファ市は、冬季には気温が氷点下に及ぶほど寒くなります。
特に対象としている子ども達が暮らす村々は、だだっ広い農村地で冷たい風を遮るものがなく、ただでさえ寒々しく感じられます。
村で避難生活をするシリア人家族は、土壁の手造りの家屋か、厚地のビニールシートと鉄パイプでできたテントで生活しています。テントであっても、外から電気を引っ張ってきて電気ストーブや、薪によるストーブを使用し見た目より内部は暖かくなります。しかし、村では頻繁に停電になり、薪も不充分で常に使用できるわけではなく、また冷たい隙間風が刺すように入り込んできます。最終的には、毛布で暖をとるしかありません。
また、おとなも子どもも基本的に衣類を充分に持っておらず、家族や親戚、友人間で交換しながら過ごしています。ただでさえ衣類が少なく、ひとりひとりへの防寒衣類が揃っていることはありません。
特に乾燥するこの土地で気温が急激に下がる冬季には、誰もが風邪やインフルエンザに罹りやすくなります。元気そうに見える子ども達でも病気に罹りやすくなりますが、アクセスの悪い村では、すぐに家族が医療機関にかかることは難しい状況です。
そんな子ども達へ、衛生活動の一環としてひとりひとりに防寒衣類セットを配布しました。
配布したのはニット帽とマフラー、手袋、厚手の長袖Tシャツのセットです。
ニット帽やマフラー、手袋は外でも家庭でも必要な時に身につけられ体を温めます。また個人への配布、特に衣類の配布ではサイズの違いなどでスタッフ側が混乱しやすくなりますが、これらは比較的サイズに幅があり、スムーズに配ることができます。
長袖Tシャツは厚手の素材で、自分が持っている衣類の内側・外側に着て防寒性を高めることができます。こちらは子ども達の年齢や体の大きさを、予めクラスでチェックし、トルコにおけるサイズ設定である6〜8歳用サイズと、9〜11歳用サイズの2種類を基本としました。
配布後すぐにこれらを身につけ、堂々とクラスに通う子ども達の姿が見られ、スタッフも思わず微笑んでしまいました。
ただ、すべてを一気に使い始めるのでなく、ひとつひとつ順次新品からおろしていく様子でした。
思えばこれまで、せいぜい秋の装いだった子ども達が、一気に冬らしい出で立ちになったと、あらためて感じました。
病気に罹らない前に、すべての防寒衣類を使い始めてほしいものです。